実践!女性のための美容&美肌雑学
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医療機関で行われているタトゥー(TATTOO)を消すための治療法はいくつかありますが、刺青を消す方法:基礎知識編でも説明したように、ざっくりいうと、レーザー治療と皮膚切除の2種類に分けることができます。

どちらの除去法にも、メリット&デメリットがあるため、タトゥーの状態(大きさ、部位、色など)によって、最適な治療法は異なってきますが、近年は肌への負担が少ないレーザー治療が主流のようです。

しかし、レーザー治療は皮膚切除とは違い、あくまでタトゥーの色を薄くして目立たなくする治療法に過ぎないため、結果に満足いかない方も少なくありません。

ところが、最近、これまでタトゥー治療に用いられていた主流の医療用レーザーに代わる次世代レーザーが開発されました。

その医療用レーザーが〝ピコレーザー〟です。

日本国内でもピコレーザーを使ったタトゥー除去治療を行っているクリニックはありますが、ピコレーザーが開発されたのはほんの数年前のことなので、この最新鋭のマシンを導入しているクリニックはまだだま少ないというのが現状(機器自体も高額!)のようです。

とはいえ、将来的にはピコレーザーがタトゥー治療の主流になるのではないかとも言われているので、タトゥーを入れてしまったことに後悔している方はもちろん、過去にタトゥー消しを試みたものの、思っていたほど消えなかった・・・とガッカリされている方は、ピコレーザー治療を検討してみるのも良いかもしれません。

では、美容業界を中心に注目を浴びているピコレーザーとは、いったいどんなマシンなのか?

ピコレーザーの特徴や仕組みについてまとめておくので、興味のある方は参考にしてみてください。

医療用ピコレーザーとは…

2013年春、世界初の医療用ピコレーザー「PicoSure」なる最新マシンを発売したのは、医療用皮膚レーザーのトップメーカー、サイノシュア社(米国)です。

ピコシュア画像ピコレーザーの〝ピコ(pico)〟とは、レーザー機器から照射されるレーザー光の時間を表す単位(長さ)のことですが、これまで長年の間、医療分野における単位はナノ(nano)秒が限界だったため、ピコセカンドレーザーの発売は待ちに待った次世代マシンとなりました。

では、単位がナノ秒からピコ秒に変わると、いったいどんな効果が期待できるのか、その辺がとても気になるところなので、イメージしやすいよう、イラストを用いながら分かりやすく説明しましょう。

患部の皮膚を直接切り取って縫合する外科手術とは違い、医療用レーザーを使ってタトゥーを消す場合は、レーザーの波長とパルス幅(照射時間)の2つ(他にも出力設定など大事なことはありますが、ここでは説明では除外)を考慮しなければなりません。
波長 一言でいうと光の長さ。波長が短いほど皮膚の表面に影響し、逆に波長が長ければ長いほど、より皮膚の深部に到達することができる。そのため、一般的に皮膚の深いところ(タトゥーの入れ方によっては、真皮層よりさらに下の皮下組織にまで色素が沈着することもある)にインクが定着しているタトゥーを消す場合は、波長の長い医療用レーザーを用いた方が除去効果は高いと考えられている。
医療分野で使用される主なレーザーの種類と波長
ルビーレーザー アレキサンドライトレーザー ダイオードレーザー YAGレーザー
694nm 755nm 810nm 1064nm
レーザーの波長イメージ
また、インクの色素に合わせた波長のレーザー光を照射しなければ意味がない(たとえば、赤色の色素に反応する波長領域は緑色)ため、レーザー光の吸収が良い黒一色のタトゥーに比べると、緑や黄色などのカラーインクを多用したタトゥーは綺麗に除去することが難しい。
パルス幅 簡単に言うと、レーザー光を照射している(発光)時間のことで、パルス幅で使用する時間の単位は次のとおり。
ミリ秒(100分の1秒)矢印マイクロ秒(100万分の1秒)矢印ナノ秒(10億分の1秒)矢印ピコ秒(1兆分の1秒)
パルス幅が短いほど、熱が拡散しにくく、威力の強いレーザー光を皮膚の深部に到達させることができるため、基本的にはタトゥーのインクが皮膚の奥深くに定着しているほど、パルス幅の短いレーザーの方が高い除去効果が期待できる。
自然界には存在しない人工的に作られた光(レーザー)は、この波長とパルス幅によって種類が決まりますが、最新鋭のピコレーザーは、文字通り、ナノ秒よりもさらにパルス幅が短い医療用レーザー機器ということになります。

では、パルス幅が短くなると、いったいどのような利点があるのでしょう。

それはズバリ、ナノ秒のパルス幅では破壊することができなかったより小さな色素細胞を破壊することができる!という点です。

この利点がタトゥー消し治療を行う上で、非常に大きな意味をもってくるので、その仕組みについて次項で詳しく説明します。



医療用ピコレーザーでタトゥーが消える仕組み

そもそも、タトゥーは表皮の下にある真皮層(表皮部分は垢となって剥がれ落ちるため、インクを定着させるためには、その下の層にインクを入れる必要がある)に向けて針を刺し、インクの色素を染み込ませる医療行為ですが、皮膚に定着したインクは使用した成分や種類などによって粒子サイズが異なります。

つまり、簡単に言ってしまえば、大きな粒子もあれば、小さな粒子もあるということです。

医療用レーザーを使ったタトゥー消しの仕組みは、インクの粒子を細かく砕くことによって、体内の不要物を掃除するリンパ系の細胞内に取り込ませて体外へ排除されたり、肌のターンオーバーにより、新しい皮膚と置き換わることで徐々に薄くしていくため、粉々に破壊することができなければ、真皮層に染み込んだインクはそのまま残ってしまいます。

そのため、ナノ秒が限界であった従来のレーザーでは、どうしても破壊することのできないインク粒子があると、治療を続けたところで、多少薄くはなっても、それ以上の効果がほとんど見られない(あるいは横ばい)というケースが多々見られました(繰り返しレーザー照射をすることで、皮膚が火傷の傷跡で厚くなり、効果がなくなってしまうことも…)。

そんな時に実力を発揮するのがピコレーザーです。

ナノレーザーよりもパルス幅の短いピコレーザーは、より小さな色素細胞も粉々に破壊してしまうため、従来の医療用レーザーでは限界とされた除去治療を超えるタトゥー消し効果が期待できる(つまり、より薄くなる)というわけです。
ピコレーザーの破壊力
では、今後のタトゥー治療は、ピコレーザー以外の医療用レーザーは避けるべきなのかというと、そう単純な話ではないのが、タトゥー消しの難しさです。

というのは、皮膚に掘られたタトゥーは患者によって、その色や大きさ、深さなどが異なってくるため、必ずしもピコレーザーが、あなたにとって最適な治療法とは限らないからです。

そこで、ピコレーザーにはどのようなメリット(あるいは、デメリット・問題点)があるのか、その特徴についてまとめておくので、参考にしてみてください。
ピコレーザーの利点と落とし穴
チェック従来マシンよりも高い治療効果が期待できる !?

補足コメント確かにピコレーザーは従来マシンに比べるとレーザーに反応しやすい色が増えましたが、消えにくい色もあるようで、すべてのカラータトゥーに対応しているわけではありません。HPを見ると、マルチカラー対応!と表記しているクリニックも多いため、どんなカラータトゥーも綺麗に消えると勘違いしてしまいそうですが、色だけでなく、深さや染料の素材などによっても反応しにくいタトゥーがあります。また、従来マシンに比べて遥かに優れたマシンと思われていますが、タトゥーの状態(色や深さなど)によっては、従来マシンの治療効果と遜色ない場合もあります。そのため、治療費を重視する場合は、必ずしもピコレーザーが最適な治療マシンとは限らないということも押えておきたいところです。

チェック従来マシンよりも傷みが少ない!

補足コメント痛みに関しては、主観的な感覚なので、この辺の比較は非常に難しいところです。某クリニックのブログに痛みに関しての記述がありましたが、その記事によると、ナノレーザーとあまり変わらないといった患者が半分くらい(痛くないと感じた方は3割ほど)だったそうです。私自身、かつてレーザー脱毛をしたことがありますが、毛の太さによって傷みがかなり異なったため、タトゥーに関しても、やはり個人差が大きいのではないかと考えます。ただ一つ言えることは、無痛をいうことはありえない!と理解しておきましょう。

チェック従来マシンよりも治療期間(回数)が少ない!

補足コメント同じタトゥーを治療した場合、一般的にはピコレーザーを使用することで、従来マシンよりも治療期間(肌に与えるダメージがより少なくなるため、治療間隔を短くすることができる)や回数を短縮することができると言われていますが、照射時間が短すぎると、かえって消しが悪くなるといった報告もあるようです。またタトゥーを除去する際は、最適な波長やパルス幅、出力設定などをしなければ効果が上がらないため、治療期間(回数)に関しては、経験の浅い未熟な執刀医だと、必ずしも短縮できるかどうかは、正直、疑問が残るところです。また、通常、真皮層の深部に濃い色素が入り込んでいればいるほど、回数が多くなると考えられます。

チェック治療費が高い!

補足コメント最先端の医療機器ということもあって、まだまだ導入クリニックが少ないというのが現状です。ピコレーザーは機器自体が高額(今後、需要が増え競争が起これば、価格は下がるかも…)なので、どうしても、その値段が治療費に反映されてしまい、1回あたりの治療費は高くなります。しかし、中には割引価格で治療が行えるモニターを募集していたり、特別価格で従来マシンからの切り替えをしてくれるクリニックもあるので、うまく活用したいところです。




ピコレーザーの種類と特徴

将来的にはタトゥー消し治療の主流になるのではないかと目されている最先端レーザーということもあって、ちょっとしたピコブーム(?)が起きています。

そのため、世界初の医療用ピコレーザーを開発発売したメーカーはサイノシュア社ですが、現在は「PicoSure」とは異なる性能をもった医療用ピコレーザーが他メーカーからも発売されています。

そこで、国内の医療機関がタトゥー消し治療目的に導入している代表的な医療用ピコレーザーを5台ほどピックアップし、各マシンの性能や特徴についてまとめておきます。
ピコシュア(Pico Sure)
メーカー:サイノシュア社(米国)
波長:755nm、532nm
導入クリニック:秋葉原フロンティアクリニック・湘南美容外科クリニック・新宿中央クリニック・四谷見附クリニック・銀座みゆき通り美容外科 …etc
ピコシュア画像世界初の医療用ピコセカンドレーザーとして発売されたマシン。業界最大手のメーカーということもあって、信頼性が高く、かつ、症例数も多いことから、他のマシンに比べると導入クリニックは多い。755nmでは反応しにくい波長(532nm)も搭載しているため、ほぼすべての色のタトゥーに対応しており、特に赤や橙、黄を多用したタトゥーを入れている人におすすめとか…(しかし、アレキサンドライトレーザーなので、タトゥーの状態によっては、果たして患者が満足のいく結果になるのか、個人的には気になるところ…)。
ピコエンライトン(Pico EnLightn)
メーカー:キュテラ社(米国)
波長:1064nm、532nm
導入クリニック:秋葉原中央クリニック・ルーチェ東京美容クリニック・Wメンズクリニック・大宮中央クリニック …etc
エンライトン画像アレキサンドライトレーザーよりも波長の長いYAGレーザー(1064nm)を使用するため、皮膚の深い層にインクが定着している場合は、より高い効果が期待できると考えられているマシン。そのため、タトゥー除去を目的とした医療用レーザー機器としては、現在、最も優れた効果を発揮するマシンと考えられているが、患者のタトゥーの状態(色、深さなど)によっては、費用も含めて必ずしも最適なマシンとはいえない。
ピコウェイ(Pico Way)
メーカー:シネロンキャンデラ社(米国)
波長:1064nm、785nm、532nm
導入クリニック:東京美容皮膚科クリニック・クロスクリニック …etc
ピコウェイ画像当初はピコエンライトン同様、2つの波長(1064nm、532nm)をもつYAGレーザーであったが、現在はオプションとして赤色系の色素に最も吸収されやすい反応を示す785nmが使用可能となり、3種類の波長をもつ。マシンサイズが他機種よりも小さいのが魅力であり、省スペースのクリニックで導入(重宝)されるケースも少なくないとか…
ディスカバリーピコ(Discovery Pico)
メーカー:クアンタ社(イタリア)
波長:1064nm、532nm
導入クリニック:クリニックビザリア銀座・藤沢美容外科クリニック・きぬがさクリニック …etc
ディスカバリーピコ画像2波長をもつピコレーザー(YAGレーザー)という点では、ピコエンライトやピコウェイと同じだが、他機種よりも2~4倍のハイパワー照射が可能。また、ピコレーザー以外にも、Qスイッチやロングパルスモードなどを搭載している。
スペクトラピコ(Spectra Pico)
メーカー:ルートロニック社(韓国)
波長:1064nm、660nm、595nm、532nm
導入クリニック:川崎中央クリニック・すなおクリニック …etc
スペクトラピコ画像現時点では他機種には見られない4つの波長を使用することが可能なため、カラータトゥーに対し、より高い除去効果が期待できるマシンとして注目されているピコレーザー。がしかし、性能云々よりも、米国製好きな日本(もっとも、レーザー治療器の開発製造に早くから着手していたのが米国なので、信頼してしまうというのも理解できなくはない…)での評価はあまり高くないらしく、導入クリニックはまだまだ少ない(製品自体は、米国製に引けを取らないマシンを製造している主張する医師もいるが…)。
※注意:医療技術は日々進歩しているため、今後、マシンの性能が向上したり、導入クリニックが他機種に乗り換えることも十分考えられるため、表はあくまで参考程度にお受け止めください。



掲載:2016.10.29